えぐられた森
復旧が進む志賀町の中でも、つい最近まで、土砂崩れで通行止めだった集落があります。
ゆがんだ地面、崩れた家々、どこかで鳴り響くアラーム。
カラスの鳴き声と獣の足跡だけが生々しい。
時の止まったような空間の真ん中に立つと、胸がざわついて仕方がありません。
なかでも、あちこちで発生している土砂崩れや地滑りを起こしている森の痛々しさには、涙が溢れました。
この辺りの里山は、かつて杉やアテを植林した森で、林業が廃れた後、切られることのない針葉樹が過密状態になっています。
土砂崩れ・地滑りが起きている多くは、密度が高くなりすぎた杉林や、浅い土の層の上に繁った竹林、何度も土砂崩れが起きるのか、コンクリートで蓋をした場所。
復旧作業が進められる中、この削れた山の「復旧」はどうなるのか。
再び、コンクリートで蓋をしてしまっては、すぐに同じことが起きてしまうんじゃないだろうか・・・。
時間がかかっても、多様な種類を混植した本来の森を育てる必要があると感じています。
対処療法では傷は深まるばかりで、この集落は誰も住めなくなります。
それどころか、コンクリートの森になってしまうかもしれない。