開かない戸
ひょんなことからご縁がつながった、岐阜の古川町商工会青年部のみなさんが、先日、1日ボランティアにお越しくださいました。
総勢13名、それぞれが手に職を持っているプロフェッショナル。
個別のニーズにつなげたくって、一人ひとりのご職業をうかがい、大工さんチーム、左官チーム、林業チーム、農業チーム、力じまんチーム、合計5つのグループに分かれ、計10件のご支援をいただきました。
大工さんチームには、開きにくい戸の補修や、屋根の上のブルーシート剥がしの依頼
(写真 古川町商工会青年部)
左官チームは、土壁パテの補正、ブロック塀の修繕やタイル貼り
(写真 古川町商工会青年部)
林業チームは、家の脇の木を切ったり、地滑りの恐れがある裏山のご相談
(写真 古川町商工会青年部)
農業チームは草刈りのお手伝い
(写真 古川町商工会青年部)
力じまんチームは荷物運搬や運び出し
(写真 古川町商工会青年部)
詰め込みすぎて時間足りないかも、なんていう心配はどこそこ。
終わってみれば予定よりも早く、追加で2件もまわってもらえるという結果に。
しかも、私たちが出るまもないチームプレーと、手抜かりのない職人の作業で、あっぱれとしか言いようがありませんでした。
Futoが、直接ボランティアさんを受け入れる際の基本的なスタンスは、
大きなところからこぼれおちた声をすくいあげ、ケアすること
作業をこなすだけではなく、できる限り地域の人と関わってもらえるようにつなぐこと
私たちは、ボランティアさんは「仲間」であり「お友達になれる可能性を持った人たち」だと思っています。
彼らが自分たちのまちに戻った時に思い浮かべるのが、悲惨な被災地の現状ではなく、◯◯さん、◯◯さん、と名前のわかる地域の人の顔であってほしいと願っています。
だからこそ、活動を通じて地域の人と深く関われることを意識しているし、そこにこだわりをもっている分、普段はほとんど団体ボランティアさん受け入れることができません。
でも、大工さんも左官屋さんも林業関係者もまったく足りてないという現状のなか、今回はどうしてもお受けしたかった。
そして、人数が多いからといって、荷物運搬だけで終わらせたくはなかったのでした。
みなさんに作業いただいた複数のおうちの方から、
「うちは半壊だしそんなにひどくないし、と遠慮して、大工さんやボランティアになかなかお願いできなかった。お願いしても、生活に支障はないからと後回しになってしまう。だけど、自分の中でずっと気掛かりだったことだったこと。人にとってはどうでもいい場所でも、自分自身にとっては大事な場所が直って、すっと心のつかえが取れた」
というお話をいただきました。
慣れない大人数の受け入れに、段取りをしている際は
「1日だと、この作業は難しいよな」とか「プロにどこまでボランティアでお願いできるのか」か「人数が多いからどう割り振ろう」「この作業じゃ、被災地感がないかな」など、ウンウン考えてしまって、
「1日でできること」「仕事ではないプロフェッショナル」「人数が多いこと」がカセのように感じてしまっていた瞬間もあったけど、
終わってみれば、職人さんたちがこれだけの人数で来てくれて、ボランティアとして1日でできることだったからこそ、この言葉を聞けたのだろうと感じています。
以前、誰かが言っていた話を思い出していました。
「家の中で一つだけ戸が開かない箇所があった。慣れてしまっていたけど、大工さんに直してもらった時、自分の中でその開かない戸がものすごくストレスになっていたことに気づいた」と。
最近は、お隣の町・中島地域のNGO団体さんと連携させてもらうことで、大人数での作業も可能となり、活動の幅が広がっています。
マンパワーで一気に進めていく部分と、小さなわだかまりをひとつひとつほどいていく部分。
両方のバランスをとりながら私たちらしく歩むことで、開く戸があるのかな。
古川町商工会青年部のみなさん、「また来ないと!」と言ってくださっていて嬉しい限り。
「おかえり」と会える日が、本当にたのしみです。