半壊の家
個人的な話ですが、私(鶴沢)の家は、半壊です。
家の中は6cmほど下がっていて、四方が捻れた感じで歪んでいます。
戸がちゃんと閉まらない箇所は数知れず。
壁の石膏ボードはほぼ100パーセントほころんでいます。
半壊から中規模半壊にでなったところで大きな違いはないため、不服申し立てはしませんでした。
地震後の応急修理の後は、まず割れていた下水管やガスの引き直しなど、設備の修繕をしました。
そのほか、余震で倒れる可能性のある壁の石膏ボードを、ビスで打ち付けました。
玄関のドアがあかなかったので修理してもらい、そのほか、開かない戸は開くように修繕しました。(逃げ道確保のため)
今は、お風呂場のある場所が地面が一番下がっていて、直すにはものすごく時間もお金もかかるため、放置しています。
(タイルも剥がれ落ち、割れた窓にはスタイルホームを貼り付けてあります。ドアは半開きのまま)
お風呂場横に置いてある洗濯機は、床が水平じゃないため自動脱水ができず、脱水の際はいつも洗濯機を人力で持ち上げています。
地震で窓や二重サッシが倒れて壊れた部屋は、ブルーシートやプラダンを貼り付けたまま。この時期でも換気ができないため、家の中のカビ問題は深刻です。
廊下を歩くと、どうしても下がっている方に体が引っ張られて、笑っちゃいます。
昨日は、家のトイレのタンクから水が漏れていることが発覚しました。
おそらく地震でタンクにヒビが入っていて、使っているうちにそのヒビが広がって漏れるようになったんだと思います。
半壊ならいいね、家に住めているだけで十分。
もちろんその通り。
大規模半壊でも全壊でも暮らしておられる方もいるし、うちなんて「かわいいもの」。
ただ、このじわじわとストレスを感じてしまう現状は、一部損壊だろうが準半壊だろうが半壊だろうが違わないのよ。
時間が経ち、余震や雨風でさらにダメージが加わって徐々に悪化する部分があります。
細かい修繕が続くと、家を建て直した方がいいんじゃないか、というくらいのお金になります。
壁の塗装をはじめ、いわゆる「意匠」を整えることなんて、もう永遠にできない気さえします。
(石膏ボードをうちつけるためのビスが壁一面に並んでいて、ぎょっとする日々よ・・・)
でも、予算はもちろん、木材や技術的な面からしても、現状と同じような家は建てられないんだよなあ。
この間、遠方からボランティアに来てくれている友人が話してくれました。
能登には、家にしろ、蔵の中の道具にしろ、木材にしろ、小さな集落にしろ、なくしては「もったいない」と思えるものがたくさんある。
だから「壊して新しく建てれば」とか「捨ててすっきりすれば」とは言えない、と。
でもこのことは、実際に能登に来て、見ないとわからなかった、と。
「被災地」といっても、それぞれの土地によって異なる文化や歴史、価値観があります。
これまでの既成概念や一括りのルールが、当てはまらないことも、あるんだよね、きっと。