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どこにでもあるつまらない田舎

更新日:5月15日

繰り返しになっちゃいますが、Futoは、復興以降のまちの再生を見据えて生まれた団体です。


災害支援団体と名乗る時もありますが、どちらかというとまちづくりとかクリエイティブな活動を行う集団という自負のもと、俯瞰的・長期的な視点を大切に、活動してきました。


そして、1年ほど前から活動の中心として据えてきたのが、能登らしい建物の修繕と活用を軸にしたまちの再生、でした。


具体的にいうと、今回の地震での被害が大きく、建物の解体や店舗の廃業・移転が進む「旧市街」(と私がかっこつけて呼んでるだけの寂れぎみな商店街)の空き店舗を、解体から救い、修繕して活用する、というものです。




photo : Yuki Morishima
photo : Yuki Morishima


そもそも、能登には、大正〜昭和初期に建てられたたてものが多く残っていました。


現在も使われている住居であれば改修やリフォームが施されていることも多いのですが、今回の地震で被災した空き家や空き店舗、あるいは蔵などは、当時の形を色濃く残しているものも、ままありました。


さらに奥能登とは状況が少し異なり、富来では「被災しているが直したら使えるたてもの」が、それなりに存在していたと思います。(一応建っているだけ、ということもあるけど・・・)



ここ富来で、能登らしい建物を残して、みんなの力で修繕して活用していく。

一商店街での取り組みだけど、それが富来全域に派生して、少しでも能登らしい景観が継がれていってほしい。

ひいては、それが富来・能登全域に広がっていって、能登らしさを継ぐことにもつながってほしい、と思ってやってきました。


(なぜ古いものを、たてものを残したいのか、という話は、別の回にゆずります)



所有者の方がいる話なので、水面下で動きつつ、いつかこのブログで「被災した空き店舗の修繕活用プロジェクト開始!」なんて発表できる日を夢見て、1年間。

いろいろな人に助けてもらいながら、あの手この手をかけて尽力してきたつもり・・・です。



結果からいいますと、残念ながら、思うような形は叶いませんでした。カーン(石ころを蹴る音)





「もの」であれば、捨てないで、と声をかけて譲ってもらうことができます。

保管場所さえ確保できれば、費用をかけずとも守ることができます。


でも、「たてもの」に関してはそうはいきませんでした。



空き家空き店舗への公的補助がない、修繕費用が高騰している、公費解体の締切が迫ってくる、技術者不足、人手不足などなど・・・いろいろな要素が複合的にからみあってますが、じゃあ公的支援が足りなかったことだけが問題か?お金が潤沢にあればいいのか?というと、きっとそういうことでもないんだろうな。


(もはや、町が、県が、国が・・・と言ってる時期・次元ではないです)



ともかく、この1年を通じて感じているのは、たてものや土地には「流れ」みたいなものがあって、どうしても残したくても残せないものもあれば、なぜかあれよあれよとうまくつなぎあうものもある。


そんなもんだよね、ということ。





今回の地震で、解体がすすむ旧市街(私が勝手に呼んでるだけの、寂れがちな商店街)は、ほとんど空き地になります。


伝統的な建築は点でしか残らず、幹線道路沿いに商業の中心が移転。

空き地が目立ち、数少ない新しく建つ住居は工務店さんメイドのもの。

それを否定するのでは全然ないんだけど。

ただ、このまま、能登らしい景観も、商店街も、歩けるまちさえも失い、富来は能登は、「どこにでもあるつまらない田舎」になってしまう・・・



のか?




(つづく)



voluntary association Futo

​石川県羽咋郡志賀町富来地頭町

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